2019年の紅白での歌唱も話題になったKing Gnuのニューアルバム「CEREMONY」が素晴らしい出来です。
その傑作アルバムはJ-POP然として聞きやすい内容ながらも、こだわりを持ちセンスにあふれた工夫が凝らされた音楽好きも納得のアルバムです!!
ドラマ主題歌となった「白日」はもちろん、その他にも聞きなじみのあるヒット曲が満載で、今年必聴のアルバムともいえる内容です。
そんなアルバムを、より楽しむために色々な視点から全曲解説していきたいと思います。
開会式
スタジアムの歓声から始まり、けたたましく鳴り響くホーンがこれから始まるアルバムへの期待を最高潮に高めてくれます。
個人的には、歓声、拍手、などのイントロは好みなので、初見でこの1曲目を聞いたら、「センスのいいバンドなのかな?」と思っていたはずです。
どろん
映画の主題歌にもなる疾走感にあふれたロックナンバーです。
ヴォーカルの歪み具合がロック的なんですが、打ち込み主体の音楽が好きな自分にも好みな音像になっていてカッコいい曲です。
サビに入ってくるホーンなどもただのバンドの曲ではない雰囲気を感じさせてくれます。
King Gnuらしくロックに振り切っていても多様な音楽性を感じさせてくれる曲です!!
Teenager Foreever
これはまさに!!King Gnuの真骨頂とも言えるような曲です!!
平歌とサビの転調具合が独特で、サビでの高揚感が一気に高まりエモーショナルさを多分に感じさせてくれます。
しかしながらも全体に漂う優しい雰囲気や、一体感の感じられるフックの作りなど音楽性の高さも随所に感じさせてくれます。
とにかくギターの使い方が多様で、色々なジャンルの音楽を聞く人がなるほどと思えるような曲に仕上がっています。
アルバムの中でも多くの人が共感できる、「背中をおしてくれる系」ソングです!!
ユーモア
ブラックミュージック好きには是非聞いて欲しいアルバム曲となります!!
まずはドラムの質感が素敵です!!打ち込み感がありつつも全体的には間違いなくバンドの曲という仕上がりで、非常にセンスを感じます。
ドラム担当が、「ドラム、サンプラー」と謳うのも納得な楽曲となっています。
スネアの打ち込み感と、スナップとハイハットを左右に開いた音像が現代の音楽をしっかりと楽曲に落とし込んだこだわりを感じさせてくれます。
全体的にはクールで、チルアウトできるような曲ともいえるかもしれません。
そんな中でのギターの音の感じが気持ちよくて、洋楽を聞いているような感覚も覚えます。
個人的にはアルバムの中で1番好きな曲です!!
90年代の日本のお洒落なJ-POPの系譜を引き継いだようなセンスあふれる曲です。
白日
説明不要の大ヒット曲!!個人的にはKing Gnuの存在を強く知ることになった楽曲です。
この曲のすばらしさについてはこちらの記事でも熱く語っております。
ブラックミュージック好きにも聞いて欲しいJ-POP5選とにかく「音楽的響き」「全体のバランス」「歌詞世界」「PVの完成度」「一聴した時のインパクト」と何をとっても素晴らしい2019年を代表するヒット曲です。
ヴォーカル井口さんの様々なパフォーマンスとも相性の良い、まさにバンドの最大ヒット曲、バンドの色を表す代表曲と言えます。
そんななかでも、個人的なこの曲の最大の好きなポイントはバンド曲なのに打ち込み曲好きも納得できる音のカッコよさです。
自分のように「クラブミュージック」、特に洋楽を中心に聞いていると、邦楽のバンドの曲は特に始めの音の質感で「あー全然好きじゃない」と思い、聞きたくなくなることも多々あります。
それはバランスの悪いギターの音像や、やたら主張しすぎなヴォーカルだったりしますが、この白日はその真逆をいっている曲でとても音の質感が好きです。
数年後にも間違いなく聞いている、そんな歴史に残るJ-POPのヒット曲になること間違いなしの曲です。
幕間
ジャズ的なベースから始まる感じがCommon「Be(Intro)」を連想させてくれますが、それよりももっとドープな世界観のインタールードです。
まさにジャズの世界観で、ちょっと渋いと思えるくらいのサックスが素敵です。
次の曲飛行艇へのバトンもばっちりな感じとなっています。
飛行艇
ヴォーカルの歪み具合、全体の質感がかなり攻めている感じの曲ですが、やはりKing Gnuと思えるセンスが随所に詰まっている曲となっています。
まずはライブ音源のような始まりがカッコよい!!センスあるイントロが好きです。
そしてベースの質感がまた良い曲でもあります。曲全体の歪み要素にマッチするベースの音像と、途中のサンプルっぽいスネアがバンド曲としては異彩を放っています。
人数が少なくて音の表現に迷っているバンドにも是非参考にしてほしい、バンドながらに多彩で奥深い音作りがとてもカッコイイです。
小さな惑星
イントロからして疾走感とお洒落な雰囲気があり、CMのタイアップのような曲だなという印象の曲です。
それもそのはず、サチモスをはじめ数々のアーティストのブレイクのきっかけとなった泣く子も黙るHonda 「VEZEL」のCMタイアップ曲です。
サビでの急展開がKing Gnuらしい楽曲で、平歌のお洒落な感じから⇒サビでPOP全開!!への振り幅が素晴らしい曲です。
Overflow
今アルバムで、個人的には最も繰り返し聞いてしまう、グルービー度数ナンバーワンの曲です!!
ギターのカッティングがとにかくカッコよくて、ノリノリにはならずにいられないそんな間違いない曲です。
コード感も往年のブラックミュージックを踏襲していて、聞きなじみのある感じでベースラインもカッコイイです。
アルバム中一番「現代のシティポップ」感を感じさせてくれる曲に仕上がっています。
傘
個人的には「傘」と「花束」がタイトルにつく曲はアーティストの色が見えて、その真価が問われると勝手に思っているんですが・・・素晴らしい!!日本的な雰囲気を感じさせながらもKing Gnu色に仕上げた良曲です。
イントロのスクラッチのような質感と、ドラムのスネアの感じがこの曲のあやしく妖艶な感じをより演出してくれています。
特に何がとは言えないながらも、日本的な、又は昭和的な感覚を感じさせてくれるようなセクシーな雰囲気も持った曲です。
ギターの質感も物凄く作りこまれた感じで、楽曲にとても馴染んでいてカッコいいです。東京事変のようなイメージも感じさせてくれます。
そしてベースの質感が気持ちよい!!アルバムの他の曲よりも重心を落としたような質感で、この曲の異質さを際立たせているような気もします。
King Gnuの「傘」は「日本的」+「King Gnu節」の高度な融合がなされた曲と感じています!!
壇上
アルバムの中では「泣きの曲」に位置し、万人の共感を得るための曲ですが、ここにもKing Gnuのこだわりが詰まっていて、まさに最後を飾るにふさわしい楽曲です。
のっけから、ストリングスの響きが素晴らしく日本人の大好き路線なのですが、メインヴォーカルが常田さんとなっているところで「白日」とは違った良さを感じさせてくれます。
歌詞世界も何か白日と対比しているような節もあって、アルバムでの2曲の立ち位置を鮮明にしているような印象を感じます。
泣きの曲をただ漠然と「大泣き」とするのではなく、「希望を見させてくれる」そんな雰囲気のする曲に仕上がっています。
閉会式
個人的には大好きな、エモーショナルさを感じさせてくれるアウトロです。
開会式と同じく、スタジアムの歓声をバックにし、ストリングスとの対比が気持ちのよい曲です。
バンドの音楽性の高さを感じさせてくれる素晴らしい締めの形と言えます。
あとがき
King Gnuのアルバムが素晴らしくて、聴きまくっている。
イントロ、アウトロ、インタールードも凝っていてアルバムの完成度が高い!
もちろんヒット曲多数で、万人が楽しめる内容だ。
近年、話題になるヒットアルバムが、繰り返し聴けるよいアルバムで音楽ファンには嬉しい。 https://t.co/7FTkMGN3fJ— 天むす💻デジタル音楽野郎 (@tenmusu20) January 18, 2020
今年、と言っても間もないのですがこのアルバムはヘビロテでよく聞いているアルバムとなっています。
その理由としては①今のトレンドである短いアルバム全体の時間、②イントロ、アウトロ、間奏、がきちんとあるアルバムとしての完成度の高さが挙げられます。
15年くらい前には、白日のような曲にスクラッチ風のSEが入っていることにHIP HOP好きの自分は嫌悪感をよく示していました。
しかし自分が年をとったのか、現代音楽家のスキルがおしなべて高くなっているせいか、むしろ心地よく聞こえてきます。
今ではインタビュー等でKing Gnuのようなバンドが、「ブラックミュージックにも影響を受けている」というくだりを見ると、嬉しささえも覚えてしまいます。
現代音楽シーンで、皆が認識するヒット曲を、アイドル商法でなくして生み出してくれるKing Gnuの存在は音楽ファンにとってはとても嬉しいものなのであります。
そして今日も、そんなリスペクトを込めて、白日を聴いているのであります。
その他の音楽レビューはこちらにまとめてあります。
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