Nujabes Metaphorical Musicのレビューと感想

Nujabes氏の初の自身名義のアルバムは2003年に出た Metaphorical Musicでした。

Nujabes Metaphorical Musicは世界的にも高く評価され、Nujabes氏の音楽性が高いという評価を決定付けることになった名作です。

現在ではアナログ盤もリリースされ、盤としての評価も年々高まってきています。

そんな名盤の聴きどころを全曲レビューで紹介していきたいと思います。

apple musicでも聞くことが可能です。

Blessing It -remix(feat.Substantial & Pase Rock from Five Deez)

アルバムの幕開けを感じさせてくれるイントロらしい曲です。

所謂Nujabesのトラックに合う主張しすぎないMCのラップと、メロディアスながらも耐久性のあるトラックが気持ちいいです。

全体の展開がミニマムでループ感が強いのもアルバムの最初の曲にふさわしいと思わせてくれます。

Horn in the middle

90年代のJazzy HIP HOPを思わせてくれるようなウッドベースから始まるイントロと、ラップともしゃべりとも言えないような声をフューチャーした感じが懐かしさを漂わせる1曲です。

Nujabesにメローネスや哀愁を求める方からすると、ややハードに感じられ、ミドルスクールのHIP HOPに寄った感じが意外ともいえる曲です。

HIP HOPマナーも感じさせる、まさにHydeout印な曲であると言えます。

Lady Brown (feat. Cise Starr from CYNE)

Nujabes関連の12インチレコードはとにかく入手しにくく、高値で取引されるレコードの代表格のような存在でした。

そんな中でもLady Brownは比較的入手しやすく、当時DJする時に喜んでかけていたことを覚えています。

ギターのカッティングが哀愁を感じさせてくれる、まさにNujabes印の1曲です。

Cise Starrはこのアルバムで多くフューチャーされていますが、Nujabesの音楽ととても相性の良いMCと言えます。

途中のフィードバック長めのディレイがかかった声ネタもカッコ良い感じです。

Kumomi

このアルバムでは個人的にお気に入りのチル曲で、何回も繰り返し聞いたインスト曲です。

当時は「いいね曇り!!」「好きだわー曇り」と言っていたのを友達に「KUMOMIじゃね?」と諭されてのも良い思い出です。

今考えるとそのタイトルも奥行き深く、ピアノとリバースサンプルの対比が美しさと尖った感性の共存を感じさせてくれる良曲です。

ぜひ聞いて欲しい曲です。

Hight 2 Lows(feat.Cise Starr From CYNE)

このアルバムで大活躍のCise Starrをフューチャーした、タイトなピアノのループ曲です。

しかしながらサビに入るストリングスや、途中急きょ出てくるパーカッションなどがNujabes感を感じさせてくれます。

安定の曲と言った印象です。

Beat laments the world

のちにサムライチャンプルーのサントラで、ミンミの歌が乗る「四季の唄」のオケとなるトラックです。

インストとしての完成度が高く、感情を揺さぶるようなエモーショナルさを内包した曲です。

そんな情熱的な上物に、裏打ち系の変則ドラムが乗ってくるNujabesとしては意外な曲でした。

途中入ってくるピアノの音は、不協和音のような絡み方でこれぞサンプリングミュージックと思わせてくれる曲です。

ミンミの四季の唄と合わせて聞くことでさらに面白い聴き方ができる曲です。

Letter from Yokosuka

個人的にはアルバムのインストのハイライト曲です!!

タイトなドラムと美しいピアノの旋律と管楽器の美しい調べというNujabes王道のインスト曲です。

日本人には「ヨコスカ」というタイトルを連想させてくれる感覚が分かるのではないでしょうか。

そんな日本人が持つ、「哀愁が好き」な感覚をうまく捉えていて多くの人に勧められる曲です。

Think Different (feat. Substantial)

イントロとバースの上ネタが違い展開を感じさせるNujabesの王道手法を用いたラップ曲です。

この曲のように通常は平歌→サビに行くところに気持ちが高まるのですが、「サビ→平歌(ヴァース)のがグッとくる」そんなNujabesの魅力が凝縮されています。

A day by atomosphere supereme

イントロの2小説のループが中毒性のある曲です。

しかしながらそのループの耐久性に頼ることなく、次々に乗ってくるピアノやアトモスフィアーがなんとも言えない幻想的な世界観を打ち出しています。

フレッドノイズを大胆にフューチャーしたギターや、後半のチョップされた上ネタなど細かいギミックが秀逸で、終盤の2小節ループで盛り上げを再び作っていく展開など、最後まで飽きさせず聞かせてくれるインスト曲です。

まさに「Nujabesにしかできない世界観」を表すアルバムでもお気に入りの曲です。

Next view (feat. Uyama Hiroto)

イントロの「キー感の乏しいサンプリング」からの入り方が印象的な傑作インスト曲です。

この曲からUyama Hiroto氏とのコラボが本格的になり、相性の良さを感じさせてくれました。

巨匠坂本龍一氏も用いた「ピッチずらしのサンプリング」という手法の高尚な感じを教えてくれる曲です。

そんな中でも「get down」という声ネタの差し込み方や、スネアの連打のドラムフィルなど氏のこだわりが随所に感じられる曲です。

また終盤の展開感がある構成も最後まで飽きさせず曲を聞かせてくれるポイントになっています。

Latitude -remix (feat. Five Deez)

このアルバムでもっとも衝撃を受けたラップ入りの曲でした。

Gigi MasinのClouds使いのサンプリング曲で、ビョーク「It’s In Our Hands」と同ネタとも言えるこの曲はとても刺激を受けました。

浮遊感がウリのこのネタをタイトなドラムとスクラッチでまとめ上げたのが印象的です。

Five Deezの名曲を素晴らしいREMIXとして昇華しています。

F.I.L.O (feat.Shing02)

このアルバムには実はLuv(sic.)シリーズが収録されていないのですが、Luv(sic.)ファンにぜひ聞いて欲しい曲です。

Luv(sic.)直系のエモいトラックとShing02のラップという2大要素を網羅しています。

情熱的なスパニッシュギターと、声ネタのスクラッチが気持ちを高めてくれる曲です。

Summer Gypsy

Nujabesには意外な4つ打ち的な曲で、TRー909的なキックから始まるイントロが印象的です。

しかしそこから1転してNujabes印のメローで叙情的な世界が広がる曲です。

サックスの入り方などがNujabes印な感じで聴き終わったあとは満足感のある曲です。

The Final View

ドラムのグルーヴがアルバムでも気持ちの良い曲で、そこにからむ多重奏の管楽器やピアノが個性を際立たせる曲に仕上げてくれています。

「そこにNujabesらしいベースとパーカッション、スネアに乗る高音が黄金比を奏でる」そんな何度も聴きたくなるインスト曲です。

そんなアーティステイックな側面も持ちながらも、体を揺らしたくなる気持ち良さを兼ね備えています。

Peaceland

骨太なドラムと浮遊感のあるウワモノが気持ちいいNujabesらしいインスト曲です。

まさにタイトル通りの慈愛に満ち溢れたような世界観を醸し出しています。

いくつものサックスのしらべや、ピアノの質感がなんとも言えないエモさを演出しています。

アルバムの最後を飾るにふさわしい美しい旋律かつ耐久感のある曲です!!

あとがき

このアルバムを聞くまでのNujabes氏の音楽の印象は、メローでジャジーなHIP HOPプロデューサーという印象でした。

しかしながら、このアルバムで多くのインスト曲を作品として聞くことで、音楽家としての氏の作品を意識した思い出があります。

その美しい旋律と真似できない世界観をこのアルバムから感じ、当時もっとも愛聴したCDでもありました。

そもそも2003年頃はアナログレコード至上主義で、昼飯代を削って12インチレコードを買うことに美徳を感じるような生活をしていたので、そんなアナログレコード派に、CDアルバムを買おうと思わせてくれたことは、とても凄いことだと思います。

そんな何十年も聴き続けられるこのアルバムを多くの方が手にとってくれたら幸いです

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